マルチーズは長い毛が生えていて、一見寒さに強い犬種に見えます。しかしそのふさふさの姿にもかかわらず、マルチーズはとても寒さが苦手なワンちゃんです。ここでは「犬と猫の飼育大百科」が誤解しがちなマルチーズの防さ対策についてご紹介いたします。
寒がりかどうかは猫によります
マルチーズのご先祖は、紀元前1500年頃にフェニキア人の水夫たちが、当時の海洋貿易の中継点として栄えていた温暖なマルタ島に連れてこられました。そんなマルチーズが暖かい南欧の島から寒いヨーロッパ大陸に進出するまでには、それから3000年以上の年月を経て1800年代が到来するのを待たなければなりません。
つまりマルチーズは紀元前1500年代から1800年代までの長い期間の間、温暖なイタリアのさらに南方の島に住みついて、そこの気候に適応するように進化した犬種なのです。そのためマルチーズたちは、アンダーコートが発達しトップコートは少ない被毛をしています。このような犬種はシングルコートと呼ばれています。シングルコートで南国原産しかも小型犬となれば、寒さに弱い犬種だと考えるのが自然でしょう。まさしくマルチーズはこの区分に該当する犬種なので、被毛こそ長いけれど特別に寒さに弱いワンちゃんであると断定することができるのです。
飼い主が気をつけるべきこと
超寒がりであるという特性を持つマルチーズの飼い主は、愛犬に対して寒い冬の間、どのようなことに気を付けてあげるべきでしょうか?
まず大切なのは、水を十分に飲ませてあげることです。寒くなってくると散歩に出かける回数も減りがちです。その結果犬はあまり動かないため喉が渇かず、水を飲む量が夏に比べて少なくなってしまいます。そして水を飲む量が少なくなると、尿の出が悪くなって膀胱の中に細菌が増え、泌尿器系のトラブルが起こりやすくなります。
しかも犬は泌尿器系の病気にかかりやすい動物です。寒がりなマルチーズの飼い主は、気温が低くなってくる頃から、愛犬の水の飲み方に気をつけてあげる必要が生じます。しかも泌尿器系の病気の症状が進行すると、さらに状態が悪くなって腎臓病にかかる可能性も出てきます。腎臓が悪くなると最悪の場合も覚悟しなくてはなりません。
おまけにマルチーズは寒さに弱いだけではありません。本当に身体が冷たく冷えてしまうのです。身体が冷えれば、当然胃腸の働きもにぶくなります。その結果、下痢をおこしてしまうマルチーズも少なくありません。身体が小さく抵抗力の弱いマルチーズのような犬種にとって、下痢は最悪の事態を招くこともあるほど大変なことです。寒い時期にお出かけする時には、室内の暖かい場所と寒い外気との急激な温度差に注意して下さい。可愛い愛犬の体調が一瞬で狂ってしまうこともあり得ます。
暖房器具との付き合い方
電気ストーブや灯油ストーブは人間にはお馴染みの暖房器具ですが、これらに不慣れなペットの場合、近づき過ぎてやけどをしてしまうケースも十分考えられます。しかも寒がりなマルチーズは暖房器具に近づいてしまう可能性も高いと考えられます。万が一やけどをすると、それがきっかけとなって思いがけない病気を呼び込んでしまうことにならないとも限りませんので、十分な注意が必要です。
また人間の場合と同様、低温やけどには十分注意して下さい。低温やけどは見かけ以上に重症化する可能性があります。飼い主が常に注意をして、寒がりのマルチーズがずっと暖房器具の近くに居座り続けることを避けるようにする必要があります。ホットカーペットを使用するときは、逃げられる場所を用意して低温やけどを予防しましょう。タイマーを利用したり、設定温度を低めにするなどの工夫も必要です。
まとめ
マルチーズのためには極端に極端に部屋を暖め過ぎないようにすることも大切です。空気が乾燥すると呼吸器をやられるので、加湿にも気を配る必要があります。空気の入れ替えを定期的に行うことも大切です。飼い主の皆様はぜひこれらに留意し、冬場も愛犬を可愛がってあげてください。